海外の製造状況(コロナ・ウクライナ戦争の影響)

コロナの感染拡大が起きてからおよそ丸3年がたち、「ゼロコロナ」政策でロックダウンをしていた国もあれば、「ウィズコロナ」政策である程度の感染は許容する国があります。また、ウクライナ戦争の影響も原油高や食料高以外だと、各国まちまちです。そこで弊社と関係のある各国のコロナ・ウクライナ戦争の影響と製造状況について、弊社の見解含め・ご紹介致します。

弊社と取引がある上海はニュースにもある通り、ロックダウンの影響をかなり受けています。現地の方々は厳しい規制を受けており、食料不足で飢えてしまっている人や規制内で外出できる範囲内で、自宅前の路肩に生えている野草をとって調理する動画がバズったりしています。弊社でも2カ月程、船積みが遅れており、お客様にご迷惑をおかけしてしまっています。お客様もご理解いただいているもののやはり気になって毎日のように状況報告をしています。6月1日にロックダウンが解除され、動き出してますが、引き続き出荷遅延や上海側の方々が遅れを取り戻そうとするために新規商談も辛抱強くする必要があります。中国政府は「ゼロコロナ」政策を11月の党大会まで続け、現政権の継続をするだろうといわれており、訪問は厳しく規制されると見込まれます。現時点での訪問は中国地方政府などから招待状があれば訪問可能ですが、商談をするために招待状が入手できるかは案件の大きさ次第になりそうです。弊社としては中国は世界の製造の重要な中心地として外せないと考えております。一方で政治的な緊張が発生する可能性もあり、中国のみに依存しないよう製造拠点の分散化も手配しております。

台湾(台北)

台湾はこれまで厳しい対策で臨み、国際社会で「優等生」と称賛されてきました。基本的に日本と同じく、高いワクチン接種率、マスクを生活様式で少しずつウィズコロナに切り替えています。台湾現地の声として、直近でコロナ死者数が増えており、政府への風当たりが厳しくなっているそうです。ただ、方向としては日本同様ウィズコロナで開国も近いと見込まれてます。弊社も中国のあおりを受けて台湾でも2ヶ月船積みが遅れており、こちらもお客様にご迷惑をおかけしています。製造自体、大幅な遅延はなく、輸出物流がボトルネックになっています。訪問は現在仕事用の出張であればビザ発行可能ですが、段階的に規制緩和される見込みです。弊社としては日本と感性が近く、親日的で、中国とも繋がりが深い台湾は重要なパートナーと考えております。今後政治的な緊張が発生する可能性もあり、中国と台湾で並行して生産・販売できる体制を構築しております。

パキスタン(ラホール)

ワクチン接種も順調に進み開国しているといえます。インド程爆発的な感染もなく、コロナの影響は比較的軽微でした。公共交通機関でもマスクなしで利用できます。ただし、日本同様、時々クラスター感染が発生して生産が止まることもありますので、ある程度余裕をもった生産計画をするのが良いと思います。しかしながら、中国の一帯一路政策に反発した一部の過激派がテロを起こしています。商談をするために訪問する場合、十分な事前情報の入手(外務省安全ホームページイギリス政府海外旅行ガイドアメリカ海外旅行アドバイス参照)の上、パキスタン相手企業に相談の上ご検討下さい。弊社の重要な顧客がいるため、現地との情報交換・訪問含め情報収集を積極的に行っております。

インド(バンガロール)

累積4300万人以上が感染し、約52万人が亡くなったインドで、新規感染者数が激減しています。一時は製造活動はおろか外出さえはばかれていましたが、最近は1日当たりの感染者が千人を下回ることもあり、マスク着用などの対策も緩和され、製造も戻ってきております。日本からの訪問も事前にビザ申請をすればできるようになっております。弊社としては、引き合いも多く・経済成長の勢いがあるインドへはBIS規制に注意しつつ拡販に取り組みたいと考えております。

トルコ(イスタンブール)

あまり日本では報じられていないですが、コロナ対策は全般的に上手くいった国と言えます。現在ワクチン接種が進み、公共交通機関でもマスクなしで利用できます。日本からの訪問も事前にビザ申請しなくてもできるようになっております。また、トルコは黒海を挟んでロシア・ウクライナとつながっていますが、トルコはNATOに加盟しており、もしロシアからの攻撃は考えにくいです(もしロシアがNATO加盟国に攻撃すれば全面戦争となり、ロシア本国が攻撃されるため)。トルコは黒海の入り口に位置しており、戦地は黒海奥のため輸出入の影響は出ておりません。製造業においても船積みで遅延がおきてないため、弊社取引先もシンガポールやマレーシア、オーストラリア、ベトナム、インドネシアなどのアジア方面への出荷で直近1年で遅延を起こしておらず、弊社も製造拠点として注目しております。

フランス(パリ)・イギリス(ロンドン)・ドイツ(フランクフルト)

コロナ対策はかなり進んでいます。ワクチン接種が進み、公共交通機関でもマスクなしで利用できます。観光地もアメリカやヨーロッパ各国からの旅行者で賑わいがあります。日本からの訪問も事前にビザ申請しなくてもできるようになっております。直接的にウクライナ戦争の影響は受けていないものの、各社航空会社はロシア・ウクライナを迂回するため太平洋、大西洋を横断する必要があり、フライト時間が従来よりも長くなっております。日本から空港は出張・旅行者であふれ、お店も通常通り開店しています。製造業においても船積みで遅延がおきておらず、出荷はスムーズです。弊社は販売先に加え、仕入先としても「日本にないが欧州にある鋼種」や「日本では生産キャパが一杯だが、欧州では出荷可能」といった事があるため製造拠点としても注目しております。

日本(東京)

番外編ですが、上記の国々と比較した日本の状況を俯瞰すると、「いよいよこれから開国・海外との交流」と期待しております。羽田空港はお店がまだ殆ど閉店しており、空港のラウンジも半分しか空いておらず、全員マスクをし、飛行機の席も空きが多く、機内食もかなり簡素化しており、コロナ対策への慎重さを感じさせます。ただし出張者や家族で海外に帰省する人達に交じって旅行する方々がいた事、海外からのインバウンド受け入れ開始など徐々に海外との交流も増えていくだろうと実感しました。

いかがでしたでしょうか?弊社では日本では見つけづらい金属材を見つけてくることに加えて、積極的にまた人が行きにくい中東やアフリカの国からも現地に足を運んで情報取得に取り組んでおり、独自の視点・ネットワークで各国の現状、現地の声をお届けいたします。調達でお困り事がございましたらお気軽にご相談頂けますと幸いです。

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