プランジャーチップ銅合金化のメリットを試算してみた

銅合金プランジャーチップ

別のブログ記事で銅合金プランジャーチップの切替メリットについてご紹介しましたが、銅合金プランジャーチップだと単価が上がるから実際のところどれだけ原価低減効果があるのか?気になりますので実際にシミュレーションしてみたご紹介したいと思います。

条件は下記となります。

前提条件

350tonダイカスト設備10台

2直

年間260日稼働

1サイクルタイム36秒/ショット

主に自動車部品を生産

結論

下表の通り、銅合金プランジャーチップにすると、1年単位でみると直接的なメリットは3点ございます。残業低減・余剰時間の創出による品質改善など間接的なメリットはここでは省略致します。

  1. 生産性向上による年間設備・人件費の低減 (製品製造にかかる設備・人件費の低減)
  2. 長寿命化によるプランジャーチップ費の低減
  3. 稼働時間節約による温室効果ガスの低減
年間の経費削減表

実際の算出プロセスのご紹介

実際にエクセルを取得し、上記条件・設備費・人件費などを入力していきます。記入は黄色くなっている箇所のみです。

可動率(1直≒8時間の内、型交換や各種調整で止まっている時間を除いて実際に動いている時間の割合)は1.5時間程度は止まるため、81.25%を可動率として設定(8時間-1.5時間=6.5時間/8時間=81.25%)。

設備・土地建物償却費を記入の上、設備稼働費を記入します。補助材料費にいまのプランジャーチップの年間費用、修繕費、エネルギー費を入力します。この辺は調べるのが難しいケースもありますのでわからなければサンプルのデータを参考におおよその金額を記入していきます。

労務費については少しトリッキーですので説明します。労務費はマンレートと持ち台数に分解されます。マンレートとは作業者の方の給与・社会保障・研修などをいれた1人あたりの費用を記入致します。一般的には給与の2倍の金額が社員1人あたりに発生すると言われており、例えば、残業代なども入れ月36万円程の給与が発生するようであれば、2倍の72万円、1分あたりだと60円程がマンレートとなります。続いて持ち台数ですが、1台あたり何人が設備の運用をしているかになります。例えば3台を1人で見ているようであれば、0.33(1÷3=0.33)人/台となります。最後に製造補助部門日になります。これは運搬、修繕、検査等の製造間接費となります。これはこれらの間接部門の方々が直接製造の方々と比べてどれくらいの人数かで考えて頂けると分かりやすいかと思います。例えば、直接製造が10人、間接製造の方々が2~3人くらいならば25%となります。

これで基本的な情報の入力は完了となります。

続いて画面左端にある黄色画面に入力します。

サイクルタイムの短縮時間は2秒/ショット(Before36秒→After34秒)とします。

その結果、下記の結論がでました。

  1. 10台の年間設備・人件費の低減は9.1百万円に
  2. プランジャーチップ費は、銅合金化により単価ではプラスですが、チップの寿命が長くなり、10台で0.4百万円の低減に
  3. 時間節約効果も10台で年間約1900時間の低減に
  4. 1年間トータルの低減費は9.4百万円に

温室効果ガス低減効果

弊社データ(お問合せ頂ければ送付いたします)にあるように、1000ton/月の生産量だと、約46ton/日、約2.9ton/時間のアルミを生産するために1時間あたり1200kgの温室効果ガスが溶解のため排出されるとあります。仮に0.5kg/ショットx100ショット/時間=50kg=0.05ton/時間の生産量とすると、1時間あたり0.05/2.9x1200kg=20.6kg/時間の温室効果ガス排出となります。

そのため年間約1900時間のダイカストに必要な時間が削減できれば1900時間/年x20.6kg/時間÷1000kg/ton=39ton/年の温室効果ガスの低減が期待できます。

生産性向上比率

仮にサイクルタイムを2秒短縮できれば、従来の36秒と比較し、2/36≒約6%の生産性向上、温室効果ガスの低減となります。

補助金申請の可能性

銅合金プランジャーチップを搭載したダイカスト設備であれば、「ものづくり補助金グリーン枠」、「事業再構築補助金グリーン枠」の対象となる可能性もございます。ダイカスト設備への投資を検討させれている企業様であれば補助金がでる可能性がございます。銅合金プランジャーチップを採用したダイカスト設備は上記グリーン枠の対象になりえるかと弊社は考えております。

ものづくり補助金グリーン枠 概要

  • 申請要件
  • 補助金額と補助率
  • 補助金審査項目

事業再構築補助金グリーン枠 概要

  • 申請要件
  • 補助金額と補助率
  • 補助金審査項目
  • 通常の要件に加え、「グリーン成長要件」というグリーン成長戦略14分野に掲げられた課題の解決にあたり、関連する2年以上の研究開発・技術開発または従業員の一定割合以上に対する人材育成をあわせて行う事

いかがでしたでしょうか?製造コストの低減だけでなく、設備投資時の補助金対象となれば2度おいしい製品になりますね。普段アルミダイカストで生産されているダイカスターのメーカー様も、ダイカスト設備を製造されているメーカー様も是非プランジャーチップの銅合金化への効用を検証頂けますと幸いです。

こちらのお問い合わせフォームからサイクルタイム短縮による節約効果を無料でダウンロードできます。不明な点がございましたら弊社からのサポートもさせて頂きますのでご検討の程よろしくお願いいたします。

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