銅合金と鉄の10個の違い

銅合金と鉄鋼の違い

銅は、道具を使い始めた人類が最初に使った金属と言われています。銅は製錬しやすく、加工性、耐久性に優れた金属であり、その発見は、狩猟の効率化、農業生産の増大、資源の開発など、人類に多くの恩恵をもたらし、人口増加や富の集中が加速し、都市文明の出現につながりました。その後、古代における器や武器などの金属製品の主流は銅から鉄へと移行しましたが、銅が他の化学物質と結びついて特性を高めたことにより、現代の工業においても銅の重要性が高まってきています。本記事では、鉄と比較した銅合金の特性・メリットについてご紹介致します。念のため、本記事では「純銅(銅の純度が99.90%以上のもの)」ではなく、「銅合金」についてご紹介しています。銅合金は、純銅にいくつかの化学物質を加えることによって、物理的・機械的特性を強化したものとなります。銅合金は、それぞれのニーズに合わせて以下のような特性を有しています。

銅合金には10種類の特性があり、多くの使用例がございます。本記事では、その特徴・メリット・使用例をご紹介していきます。

#銅合金の特長・メリット
1熱伝導性
2電気伝導性
3被膜レス
4耐食性
5耐摩耗性
6耐圧性
7加工性
8輝度(輝き)
9非磁性
10抗菌性
銅合金と鉄の10個の違い

熱伝導性

銅合金の中には、鉄の約4~7倍の速さで熱を伝えるものがあります。銅の熱伝導率は放熱材でよく使われるアルミニウムよりも高いです。熱伝導率の高さから、高級レストランでは銅のフライパンを使っているところもあります。熱が素早く均一に伝わるので、焼きムラが少なく、まろやかで優しい味わいに仕上がるといわれています。早く温めたり冷ましたりする必要がある場合は、銅合金が良い選択肢になるでしょう。使用例:アルミダイカスト用プランジャーチップ、食品用金型、樹脂成型型

電気伝導性

導電性の高い(電気抵抗が小さい)金属は、銀>銅>金>アルミの順です。しかし、銅は銀とほぼ同等の電気導電性(常温で銀の94%)を持ち、貴金属である銀よりはるかに安価です。そのため、電線など高い電気導電性が求められる用途には、ほとんど銅が使われています。鉄との比較において、銅合金の中には約5倍の電気伝導性があります。用途例: 耐溶接材料、電線

被膜レス

アルミダイカストでは、鋼材がアルミとの接触部にAl-Fe化合物層を形成し、焼付き(摩擦熱による過熱、材料表面の変質)が発生します。この化合物層がアルミニウムに付着して肉厚が膨張し、クラックなどの欠陥が発生することがあります。一方、銅合金の中にはAl-Cu化合物層を作らず、焼き付きを防止する機能があります。用途例:アルミダイカスト用プランジャーチップ

耐食性

鉄は腐食しますが、銅合金は非常にゆっくりと腐食します。銅は表面に不動態皮膜という錆のようなものを作ることで、中の金属を保護することができるのです。腐食を完全に止めることはできませんが、10円玉のような青銅製(銅合金の一種)硬貨がお酢きれいになるのと同じように、かなり低いレベルまで腐食を抑えることが可能です。そのため、銅像や硬貨(日本では1円を除くすべての硬貨)に銅合金が使われています。古代の青銅器や武具が良い状態で発掘されるのも、銅が錆びにくい金属であるためです。また、時効・析出処理(※)により、銅合金の表面に緻密な酸化皮膜が形成され、これが保護膜となって高温での耐酸化性に優れるようになります。適用例:船舶のスクリューや屋根など。

※時効硬化処理とは、金属間化合物の微細な析出粒子を分散させ、強度を高める銅合金の熱処理のことです。例えば、ベリリウムを2%添加すると、純銅に比べて強度が600%向上すると言われています。

耐摩耗性

耐摩耗性が高いほど、金属の寿命は長くなります。一般的に、金属は硬いほど耐摩耗性に優れています。ただし、下記4つの理由で発生する摩耗に対し、一部銅合金では金属同士の密着性が鉄よりも優れているため、耐摩耗性に優れているものもございます。用途例:アルミダイカスト用プランジャーチップ

<摩耗4つの理由>

  1. 摩擦面の金属同士の付着
  2. 酸化皮膜などの汚れに対する密着性
  3. 表面粗さ
  4. 材料強度(引張強さ、硬さ)

以上のことから、耐摩耗性に優れた金属として理想的なのは以下となります。例えばアルミダイカスト用プランジャーチップではアルミと鉄だと化学反応により被膜を形成し(Al-Fe化合物層)、摩耗しやすい一方、アルミと銅合金だと被膜を形成せず、摩耗にしにくいという点があります。

  1. 粘着性の低い金属の組み合わせ(銅合金は添加物を多く含み、摩擦が少ないため摩耗も少ない)
  2. 潤滑油を含んだ膜が酸化被膜の形成や異物混入を防ぎ、などの汚れを防ぐ膜(銅合金は耐食性が高く、腐食しにくいので酸化被膜も異物混入も少なく摩耗しにくい)
  3. 平滑面または接触点の多い面(表面粗さは加工精度に依存)
  4. 硬度・強度(一般的に工具鋼などの方が銅合金よりも硬く、工具鋼の方が摩耗が少ない)

耐圧性

耐圧性は、硬度x引張強度(高いほど高圧で変形しにくい)に分解する事ができます。一般に、銅合金よりも工具鋼の方が耐圧性に優れています。ただし、当社の銅合金でSKD61より耐圧性が優れているものもあります。
SKD61(代表的な工具鋼)とC63000(青銅系銅合金)、オリジナル銅合金の比較サンプルを作成しました。
SKD61:硬度HB420、引張強度1250N/mm2
C63000:硬度HB160、引張強さ620N/mm2
オリジナル銅合金:硬度HB420、引張強さ1750N/mm2
用途例:金型材料

加工性

一般に銅は切削性に優れていますが、粘りが強く、バリが発生しやすいという欠点があります。熱に弱く、200℃を超えると軟化するため、銅合金メーカーには次のようなノウハウがある。

  1. 切削速度が速い
  2. すくい角の大きい鋭利な工具の使用
  3. 銅の切削に適した油性のクーラントを使用する(水性のクーラントは銅合金を変色させる)。
  4. ベリリウム銅の場合、防塵対策を行う(ベリリウムは人体に有害である)

輝度(輝き)

真鍮などの銅合金の中には、金以外で唯一、金色の光沢を持つものがあります。用途例:家具部品

非磁性

銅合金の中には、非磁性体もあります。例えば、ベリリウム銅は非磁性ですが、青銅はわずかに磁性を持ちます。用途例:歯車

抗菌性

銅は、ドアノブや手すりなど、多くの人が触れる場所や菌が繁殖しやすい場所によく使われています。銅から発せられる微量な銅イオンの金属作用で、細菌を殺す性質があり、抗菌に有効であることが科学的に証明されています。抗菌作用のある金属は他にもありますが、銅は金や銀のように高価すぎず、鉛のように毒性があるわけでもない点がメリットです。最近では、コロナウイルスの接触感染を防ぐために、銅製のドアオープナーなどが流通しています。用途例:家具部品

最後に

エンサーブでは、特殊で希少な銅合金を日常的に製造している銅合金メーカーと強いネットワークを持っています。他の銅合金メーカーで断られた、銅合金で困っているなどございましたら、お気軽にご相談ください。

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